2025.05.03
職人ブログ
空き家・戸建てリノベの落とし穴は『屋根』!千葉の中古戸建てリノベーションで失敗しないためのチェックポイント。
千葉で空き家や戸建てのリフォームを考えている方、大切な家の選び方や修理の仕方、理解していますか?
習志野市をはじめとする千葉県は、東京に近く戸建て住宅が多いエリアです。そんな習志野市で中古戸建てを購入して、自分らしい家にリノベーションしたいとお考えの方も多いのではないでしょうか。
ご家族のライフスタイルや好みに合わせて間取りや内装を一新する夢が広がる一方で、中古物件ゆえの不安もあります。特に、普段は目にすることのない「屋根」の状態、気にしたことはありますか?
私たち丸治瓦店は、ここ習志野市で40年以上、地域の皆様の屋根を守り続けてきました。数多くの中古物件の屋根を見てきた経験を活かし、今回は「中古戸建てのリノベーションにおける屋根の重要性」を分かりやすくお伝えします。
資産価値を守る!中古リノベで屋根を疎かにできない理由
中古戸建ては、新築に比べて費用を抑えられます。さらに、新築より価格の下落が緩やかです。そのため、自宅として住む場合でも、将来的に人に貸して収益物件とする場合でも、資産性を重視して中古を選ぶ方が増えています。
リノベーションではつい内装ばかりに目が行きがちですが、実は資産価値を守るうえで重要なのは外装です。特に屋根のメンテナンスは、建物の寿命や将来の評価額に大きく関わってきます。
内装をどれだけ美しく仕上げても、屋根が傷んでいると雨漏りが発生し、建物内部や構造材を腐食させてしまいます。屋根の劣化は建物の寿命を縮めるだけでなく、将来売却する際の評価額にも大きな影響を与えます。
中古物件の場合、築年数によっては屋根材や防水シートの寿命を迎えていることもあります。資産価値を守るためにも、リノベーション時には屋根の状態をしっかり確認し、必要に応じてメンテナンスを行いましょう。
今の中古戸建て市場に増えている「築20年前後の家」の屋根のアスベスト問題
築20年程度の住宅は、①アスベストを含む古い化粧スレート屋根か、②アスベスト禁止直後に開発された劣化しやすい代替スレート屋根のどちらかであるケースが多く、注意が必要です。
▼アスベストを含まない化粧スレート屋根(パミール)。屋根材が剥離しボロボロになっています。
① 2004年より前に建てられた家の屋根は、アスベストを含んでいる可能性あり
アスベストは耐火性・耐久性・断熱性に優れ、繊維状でセメントと混ざりやすいことから、1970〜90 年代には屋根材や外壁材に広く使用されました。
しかし後年、微細な繊維を吸い込むと肺がん・中皮腫・アスベスト肺など深刻な健康被害を引き起こすことが判明し、社会問題になりました。日本では 1995 年から段階的に規制が始まり、2004 年にほぼ全面禁止、2012 年に完全禁止となっています。
現在でも 2004 年以前に建築された家にはアスベスト含有スレートが多く残っており、解体・撤去時に特別管理産業廃棄物として高額な処分費用がかかる点も大きなデメリットです。
注)ご自宅の屋根にアスベストが入っていても、普段生活している分には問題ないのでご安心を。
アスベストを含む屋根材は、アスベストレベルでは最も低い「3」に分類されており、通常の居住で健康に影響することはありません。しかし、解体や切断・穿孔時に飛散したアスベストは健康被害につながる可能性があるため、専門知識と資格を持つ業者に依頼することが不可欠です。
② より深刻な問題として、アスベスト禁止後に登場した “代替スレート” にも要注意
アスベストが禁止されると、各メーカーは代替品を急いで開発しましたが、中には品質が十分でない製品も存在します。代表例が セキスイかわらU(ユウ)、ニチハ パミール、コロニアルNEO などです。(※セキスイかわらUはアスベスト含有スレートも存在します。)
いずれもアスベストを含まない製品ですが、製造から10〜15 年で層間剥離やひび割れが急速に進み、屋根材そのものがめくれ上がるケースが多発しています。
普通の化粧スレート(コロニアル・カラーベスト) であれば定期的な塗装メンテナンスで寿命を延ばすこともできますが、パミールは塗装しても屋根材自体が剥離するため延命は不可能 です。そのため、パミールの対処法は 2 つに限られます。①既存屋根の上に金属屋根を重ねる 屋根カバー工法(目安 10 年程度安心) ②既存屋根を撤去して新しい屋根材に替える 葺き替え工事(より長期に安心)。
▼こちらはアスベストが含まれていないセキスイかわらUで建てられたご自宅です。剥離やひび割れが進み、雨漏りに繋がってしまいました。
こちらのご自宅の工事について、詳細を下記の施工事例に掲載しております。ぜひご覧ください。
工事業者選びにも要注意!
アスベストを扱う工事には法定資格の保有が義務付けられています。見積もりを依頼する際は、施工会社に 石綿作業主任者 や 石綿含有建材調査者(石綿診断士) の資格保有の有無を必ず確認しましょう。
施工業者が必要な資格を有していなければ、別の業者に廃棄や調査を外注していることになるため、必要以上の費用が発生してしまう可能性があります。
丸治瓦店では、石綿作業主任者 や 石綿含有建材調査者(石綿診断士) の資格を保有しています。
(参考:アスベストに関するQ&A集(環境省))
あなたの中古物件に最適な屋根リノベーションは?
築20年前後の中古物件で屋根の劣化が見つかった場合、どのような修理方法を選ぶべきでしょうか?重要な判断基準は、「その家にあと何年住むか」という計画です。
【地元の屋根屋が考える「あと何年住むか」で選ぶ修理法】
◆ アスベストが含まれている場合
・長期に住む、あるいはゆくゆく売却を考えている場合: 住まいの状態を悪化させずに、今後の売却価格を高めるためにも、早めにアスベストを含まない屋根材への「葺き替え」がおすすめです。資産価値の維持にもつながります。
・10年程度住んで取り壊す予定の場合: 状態に問題がなければ、「カバー工法」で一時的に対応するのが合理的です。コストを抑えつつ、必要な期間を安全に過ごせます。
◆ アスベストが含まれていない場合
・ちょっとだけ住む、あるいは近い将来解体する予定の場合: 屋根に大きな問題がなければ、最低限の修理で済ませるのが効率的です。(棟板金のメンテナンス、屋根材のひび割れ補修など)
・10〜20年程度住んでから解体する予定の場合: 屋根の下地などに問題がなければ、新しい屋根材を重ねる「カバー工法」が費用対効果の高い選択です。ただし、解体時には既存の屋根材の処分費もかかることになります。
・20年以上の長期居住を考えている場合: 防水シートや下地の劣化を考慮し、「葺き替え」で屋根全体を新しくすることで、長く安心して暮らせます。
まとめ:中古戸建て×リノベーションで後悔しないために
中古戸建てのリノベーションは理想の住まいを叶える魅力的な方法です。
ただし、見えにくい屋根の点検・メンテナンスが欠かせません。最後に、屋根のポイントをまとめます。
・中古物件の屋根の状態を必ず確認する
・築年数が古い化粧スレート屋根のアスベスト確認を徹底する
・将来の居住計画に合わせて屋根工事を選択する
・修理方法のメリット・デメリットを理解して専門家に相談する
千葉での中古リノベーションの屋根工事は、地元で実績豊富な屋根専門店に相談するのが最も安心です。
工事業者の選び方についての記事で、工事業者の選び方を解説していますので、ぜひご確認ください。