2025.09.05
職人ブログ
瓦屋根のプロが教える!千葉で長く安心して暮らすための瓦屋根の選び方
「瓦屋根って、地震や台風で壊れやすいって聞くけど、本当なの?」
瓦屋根の家にお住まいの方や、これからのお住まいに瓦屋根を検討している皆さんが、安心して瓦を選んでいただけるよう「瓦屋根」についてのお話です。
私たち丸治瓦店は、ここ千葉で45年にわたり、地域のお客様の暮らしを屋根から支えてきました。その中で、瓦屋根についてさまざまなご相談をいただきます。
重厚な佇まいが魅力的な瓦ですが、一方で「重いから地震に弱い」「昔の屋根材だからメンテナンスが大変」といったイメージを持たれがちです。しかし、瓦には優れた点がたくさんあり、長期的に見ると非常に良い屋根材なのです。
この記事では、屋根の専門家である私たちが、瓦屋根の本当の価値と、安心して任せられる施工店の選び方についてお伝えします。
瓦屋根とは?その定義と種類
瓦屋根とは、粘土を主原料とし、成形して焼き締めた「瓦」という部材を重ねて葺いた屋根のことです。瓦は素材や製法によっていくつかの種類に分かれます。(粘土を主成分としない「セメント瓦」や「コンクリート瓦」についても後述します。)
- 釉薬瓦:瓦の王道ともいえるのがこの陶器瓦です。粘土を高温で焼き締めて作られるため、非常に耐久性が高く、色あせや変色に強いのが特徴です。釉薬(ゆうやく:ガラス質のうわぐすり)を施したものは「釉薬瓦」と呼ばれ、豊富な色彩があります。近年は、防災への意識も高まり、形状の工夫で軽量化や留め付けの強度も高まり、防災瓦として多く採用されています。
- いぶし瓦:陶器瓦と同じく、粘土を高温で焼き締めますが、その後に燻化する(いぶす)ことで表面が薄い炭素の膜で覆われ、防水性や耐久性を高め、「いぶし銀」といわれる光沢のある色となります。釉薬で保護されていないので、色むらや経年美化を味わいとして親しまれてきました。神社仏閣や和風建築の屋根に多く採用されています。
- 素焼き瓦:釉薬のかかっていない素焼きの状態の粘土瓦です。テラコッタともいわれる素朴な質感で、沖縄の「赤瓦」もこれに当てはまります。原料の泥岩に含まれる鉄分が焼成によって赤く発色しているのです。海外の住宅にも多く、洋風な住宅との相性も良い瓦です。
次にあげる屋根材は「瓦」と呼ばれていますが、粘土を主成分とする焼き物ではなく、セメントやコンクリートを主成分として瓦を模した屋根材です。本来は「瓦」ではありませんが、瓦の代わりとして普及した屋根材として紹介します。
- セメント瓦/コンクリート瓦:セメントや砂などを混ぜて作られます。粘土瓦に比べて安価ですが、経年劣化で表面の塗装が剥がれたり、苔が生えやすいため、定期的な洗浄と塗装メンテナンスが必要です。粘土瓦よりも重いのも特徴です。
分類 | 瓦の種類 | 主原料 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|---|---|
瓦(粘土瓦) | 釉薬瓦 | 粘土 | 耐久性が非常に高く、色あせや変色に強い。釉薬(ゆうやく:ガラス質のうわぐすり)により色彩が豊富。近年は軽量化された防災瓦が多い。 | 一般的な住宅 |
瓦(粘土瓦) | いぶし瓦 | 粘土 | 釉薬のかわりに、燻化による炭素の膜で覆われ、防水性・耐久性が高い。釉薬で保護されていないため「いぶし銀」の光沢があり、色むらや経年変化が楽しめる。 | 神社仏閣、和風建築の屋根 |
瓦(粘土瓦) | 素焼き瓦 | 粘土 | 釉薬を使わない素朴な質感。原料の鉄分により赤く発色。吸水性が高く降雨時の温度調整効果が高い。 | 沖縄の赤瓦、洋風な住宅 |
瓦を模した屋根材 | セメント瓦/コンクリート瓦 | セメント、砂 | 粘土瓦より安価。塗装の剥がれや苔の発生が起きやすく、定期的なメンテナンスが必要。粘土瓦より重い。 | 一般的な住宅など |
瓦屋根が長期的に見て優れている3つの理由
瓦屋根は、他の屋根材にはない優れた特性をたくさん持っています。初期費用は他の屋根材より高くなることがありますが、長期的な視点で見ると、その耐久性やメンテナンス性から結果的に経済的になることが多いのです。
- 驚異的な耐久性と耐用年数:瓦は、製造過程で高温で焼き締められるため、非常に頑丈です。特に釉薬瓦は、耐用年数が50年以上と言われており、日本の気候にも強く、塗り替えなどの大規模なメンテナンスが不要です。一方、他の屋根材(化粧スレート屋根や金属屋根など)早いもので10年〜20年前後で塗装や葺き替えが必要となり、その都度まとまった費用が発生します。瓦は一度施工すれば、次の世代まで安心して使える、まさに一生モノの屋根材と言えるでしょう。
- 優れた断熱性と遮音性:瓦屋根は、瓦とその下の屋根材(防水シートなど)の間に空気の通り道ができます。この通気層が、外からの熱を遮断する高い断熱効果を生み出し、夏は涼しく、冬は暖かく保ってくれます。また、瓦自体の重量と、通気層のおかげで、雨音や外部からの騒音を効果的に遮断し、静かで快適な住環境を実現します。
- ご参考)兵庫県工業技術センターによる「屋根材の違いによる屋根表面および屋根裏温度への影響の検討」について
- 部分補修が簡単でメンテナンスコストを抑制:台風で瓦が飛んでしまった、アンテナ設置工事の際に瓦を割ってしまったなど、一部に被害が出た場合でも、その一枚だけを差し替えることができます。一部の瓦の被害のみであれば屋根全体を葺き替える必要がないため、補修にかかる費用を大幅に抑えることが可能です。また、屋根の登頂である棟瓦は、昔の旧耐震基準のままですと、崩れやすい特徴があるので(あえて建物への負荷を軽減するため、瓦を振り落とす構造となっていた)、新耐震基準に合わせた耐震化を図るための一部葺き直しができ、全面の葺き替えではなく一部補強で地震や台風への備えが可能です。
瓦屋根のメンテナンス:必要な箇所と正しい方法
「メンテナンス不要」と言われることが多い瓦屋根ですが、瓦屋根の屋根としての機能を維持するためには、瓦以外の部分のメンテナンスも欠かせません。
メンテナンスが必要な主な箇所
- 漆喰(しっくい):瓦と瓦のつなぎ部分を保護する役割があります。棟瓦(むね:屋根の頂点部分)や壁との接地面に使われることが多く、屋根内部への雨水の侵入を防ぎ、隙間から入った水分を外へ放湿する役割があります。呼吸するように、屋根の水分を調節してくれているのです。そのため、経年劣化でひび割れや剥がれが発生します。漆喰が剥がれると、瓦のズレや内部への雨水侵入からの雨漏りにつながるため、定期的な点検と補修が必要です。
- 防水シート:二次防水と呼ばれ、瓦の下にある防水層です。万が一瓦の内部に雨水が侵入しても、この防水シートがそれ以上の雨水侵入を防ぐ役割を担っています。しかし、防水シートの耐久年数は10、20、30年、それ以上と素材によって全く異なります。すでに雨漏りが起きている場合は、防水シートを新たに施工し直す必要があります。また、雨漏りが起きていなくても、今後のメンテナンス時期を考えて、防水シートを新しくして瓦を葺き直すこともできます。
- 谷板金(たにばんきん):屋根の2つの面が交わる谷部分に取り付けられる金属板です。雨樋に向かって雨を受け流す道となりますが、金属製の為、雨だれによってサビが生じ穴が空くことで雨漏りの原因となることが多い部分です。定期的な点検やさび止めの塗装、雨漏り時には板金の交換が必要です。
- 瓦のズレ・割れ:地震や台風、飛来物などの影響で瓦がずれたり、割れたりすることがあります。瓦が少しでもずれていると、そこから雨水が浸入し、雨漏りの原因になります。特に千葉県は毎年台風が通過することが多いため、台風の多い時期の前後には注意が必要です。
- 棟部(熨斗瓦・棟瓦):地震や台風などで一番負荷がかかる部分です。ずれや崩れに備えた補強をあらかじめしておくと、有事の際にも安心です。
メンテナンスが必要な箇所 | 役割 | 注意点 |
---|---|---|
漆喰(しっくい) | 瓦のつなぎ目を保護し、屋根内部への雨水侵入防止と、吸湿・放湿により屋根内部の湿度を調整。 | 経年劣化でひび割れや剥がれが発生。放置すると屋根内部に水が侵入し、棟瓦のズレや雨漏りにつながるため、定期的な点検・補修が必要。(※施工店選びは要注意(後述)) |
防水シート | 瓦の下にある二次防水層。一次防水である瓦などの屋根材から侵入した水を受け止め、蒸発させ、住宅の内部に雨水が侵入することを防ぐ。 | 防水シートの素材により、耐久年数(10年〜30年以上)が大きく異なる。高級な住宅だからといって、性能が高い防水シートが使われているちとは限らない。雨漏りが発生している場合は交換が必要。 |
谷板金(たにばんきん) | 屋根の面と面が重なる「谷」部分で雨水を集め、雨樋へと流す水の通り道となる。 | 金属製のためサビや穴あきが起こりやすく、雨漏りの原因になりやすい箇所。定期的な点検や塗装、交換が必要。 |
瓦のズレ・割れ | 屋根の一次防水として、雨水の侵入を防ぐ。 | 経年劣化に加えて、地震、台風、飛来物などが原因で発生。わずかなズレでも雨漏りの原因になるため、台風時期の前後は特に注意が必要。 |
棟部(熨斗瓦・棟瓦) | 屋根の頂部で、面と面が合わさった辺の部分。雨水の侵入を防ぐ。 | 地震や台風の際に最も負荷がかかる部分。ずれや崩れに備え、あらかじめ補強しておくと有事の際に安心。 |
専門家による定期的な点検のススメ
瓦屋根の耐久性を最大限に活かすためには、5年〜10年に一度、専門の業者による定期的な点検をおすすめします。特に漆喰のひび割れや、谷板金の劣化は一般の方では気づきにくいことが多く、早期発見が重要です。また、災害に備えての補強工事をあらかじめしておくことも重要です。
例えば、過去には「足場屋さんが瓦を割ってしまった」「トラックが家にぶつかって棟がずれてしまった」といった緊急のご相談をいただき、すぐに駆けつけて部分補修を行った事例もあります。千葉の地域に密着している丸治瓦店は、そうした部分的な補修にも迅速に対応できますのでご安心ください。
(参考:千葉県の気象特性(銚子地方気象台HP))
瓦屋根について、よくいただくQ&A
Q1. 実家の瓦屋根が古くなってきたのですが、大規模な葺き替え工事をするしかないのでしょうか?
A. 必ずしも大規模な葺き替えが必要とは限りません。瓦屋根の状態によりますが、部分的な補修で対応できるケースも多くあります。(それも瓦の良さの一つです。)主に以下のような方法が考えられます。
・漆喰(しっくい)が剥がれている場合:剥がれた漆喰を放置すると、内部に水分が浸入して棟瓦がずれる原因になります。被害が広がる前に、剥がれた部分の漆喰だけを補修することで屋根の寿命を延ばせます。 ※比較的手軽な補修のため、悪徳業者が声をかけてくるケースもあるので業者選びには注意が必要です。(後述)
・棟(むね)がズレている場合:屋根の頂上部分である棟がずれたり歪んだりしている場合、その部分だけを積み直すことができます。その際に耐震性を高める金具を使用したり、既存の瓦を再利用したりすることも可能です。
築年数が古い立派な瓦屋根の場合、棟の段数を少なくして軽量化・耐震対応することも可能です。
Q2. 瓦屋根から雨漏りしているようです。屋根全体を葺き替える必要がありますか?
A. いいえ、瓦屋根の大きなメリットは、問題のある部分だけを補修できる点にあります。
・瓦の一部の差し替えで対応可能:雨漏りの原因となっている瓦の割れやズレを特定できれば、その瓦だけを新しいものに差し替える部分的な補修が可能です。
・雨漏りの原因は瓦以外の場合も:屋根材の瓦自体ではなく、谷部分の板金(ばんきん)などの他の部材の劣化が原因で発生していることも少なくありません。その場合、原因となっている板金などを交換だけを行うことが可能です。その際、既存の瓦はそのまま再利用できるため、費用を抑えることができます。
「詐欺」には要注意!信頼できる施工店選びのポイント
瓦屋根は、一部の悪質な業者による詐欺被害が起きやすい屋根材でもあります。
- コーキングの悪用:漆喰(しっくい)の代わりにコーキング剤を雑に使う業者がいます。本来の施工方法ではないため、逆に雨漏りの原因になることが多くあります。
- 漆喰工事のずさんな対応:漆喰の塗り直しは、一見簡単に見えるようで、それを専門に施工している業者もいます。しかし、本来の漆喰の役割を果たすためには、塗り面の下地処理や、熨斗瓦と漆喰の厚さのバランスなどに気を付けて施工する必要があり、構造や雨の流れを熟知した職人技が求められます。
瓦屋根の工事は、専門的な知識と経験が必要です。必ず信頼できる会社に相談してください。
私たち丸治瓦店は、お客様に安心してご相談いただけるよう、以下のことをお約束します。
- 屋根のプロとして誠実なご説明とご提案を行います
- お客様の納得がいくまで、丁寧にご対応します
- 地域密着で培ってきた確かな技術で責任を持って施工します
現在の瓦屋根は、台風や地震の被害を軽減するためにも施工方法が大幅に改善されています。 国土交通省も瓦屋根の緊結方法(屋根に瓦を固定する方法)の強化を義務付けています。 詳しくは以下のリンクをご参照ください。
(参考;令和4年1月1日から 瓦屋根の緊結方法が強化されます(国土交通省HP))
また、屋根リフォームに関する詐欺については以下の記事でも詳しく紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
まとめ
瓦屋根は、長期的に見て経済的で、住まいの安心を守る優れた屋根材です。 信頼できる施工店を選び、正しい施工を行うことが何よりも大切です。
- ⚫︎瓦は耐久性が高く、メンテナンスの手間が少ない優れた屋根材
- ⚫︎災害に強い防災瓦の普及で、耐震・耐風性が向上している
- ⚫︎部分的な補修が可能なため、小さなトラブルにも対応しやすい
- ⚫︎悪質な業者に騙されないためには、信頼できる会社選びが重要
- ⚫︎千葉の屋根のことなら、45年の歴史を持つ丸治瓦店にご相談ください
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